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「とりあえずよぉ、俺はお前にど突かれて怪我したんだわ」
「…どこにですか」
「腕にだよ」
不良Aがどかりとソファに座って腕を見せてきた。
じっとその腕を見てみる。
……いや、掠り傷じゃん!
「え、それだけですか?」
「それだけとはなんだテメー!」
なんだもなにも掠り傷!
ショボいだろそれ!
「だって大した怪我じゃな……」
「大きくなくても怪我は怪我だろ!たとえそれが掠り傷みてぇなショボいもんでも!」
と、不良B。
それはフォローしてんのか?
「フォローになってねぇよ」
「あ、わりぃ…」
CのツッコミにBが謝る。
なんだコイツ等……。
「とにかくだな!俺はお前を1発殴らねえと気がすまねぇわけだ」
不良Aが立ち上がる。
BとCは俺の両腕を逃げられないようにと掴む。
ああ…とうとう殴られるのか…。
1発って言ってたけど、絶対1発じゃすまないし。
……痛いのは、嫌だな…。
腕を振りかぶる不良Aを見て、ぎゅっと目を閉じた。
頬に拳が当たり鈍い音を立てる。
「──っ…」
じわりと口の中に血の味が広がって、昔を思い出した。
…痛い。
あの時も、こんな感じで殴られたっけ…。
兄貴と、その友達に。
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