平凡と親衛隊

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─カズハside─ 目が覚めるともう朝で、そこはここ数週間で見慣れた自分の部屋だった。 「…5時か…」 時計で時間を確認しながら昨日なにをしてたかわからなくなって、ぼんやりと思い出す。 飯食って、帰ろうとしたら追いかけられて……ああ、あの不良たちに捕まったんだっけ。 それから? それからどうしたっけ? 「……思い出せない」 捕まってから、今起きたところまでの記憶がない。 寝起きの頭で必死に思い出そうとしたけれど、やっぱり思い出せない。 そうしたら、考えるのが面倒になって、ベッドに再び横になる。 頬と頭が、少しだけ痛い。 頬に手をやると心なしか腫れている気がする。 「…なんで、だっけ……」 もう一度考えようとしたら、控え目なノックが2回聞こえた。 その後、ドアの向こうから聞き慣れた声。 「…カズハ、起きてるか?」 「起きてるよ。入ればいいのに」 ふふっと笑えば部屋の中にソウジが入ってくる。 ただその後ろに、昨日初めて見たばかりの人がいた。 「水森君、昨日はごめんなさい」 榎本さんの親衛隊の隊長さんだ。 こんな朝早くからどうしたんだろうと思っていると、いきなりの謝られた。 「それから…その、ありがとう……助けてくれるなんて思わなかった」 …なんでだろう、隊長さんが小型犬に見える。 幻覚で耳と尻尾が見える。 大丈夫か、俺。
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