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「あ……ごめ、ん…」
「…いや…いい」
俺が謝ればソウジは首を横に振る。
隊長さんはオロオロしていた。
違う。
ソウジを傷つけるつもりはなかった。
震えた手で振り払ったばかりのソウジの手を握る。
…大丈夫。
この手はあいつの手じゃない。
だってこんなにも暖かい。
握った手を頬に添えて目を閉じる。
「かっ、カズハ?」
「……ごめんね…ソウジ…」
隊長さんは部屋を出て行き、ソウジは黙り込んでしまった。
俺はしばらくそのままで、ソウジが恥ずかしそうに口を開くまで放さなかった。
「カズハ、行くぞ」
「うん」
学校へ行く支度をして、ソウジと一緒に部屋を出る。
寮を出る手前で忘れ物がないか鞄の中身を確認。
「…あっ」
「どうした?」
「世界史のノート忘れた…!」
「おいおい…」
「取ってくるからソウジは先に行ってて!」
「気をつけて行けよ」
ソウジの言葉を耳に入れながらエレベーターに乗り込む。
早く行かなきゃ遅刻する…!
エレベーターの扉が開くとダッシュで部屋へ。
間に合うかな…。
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