1.淡桃色

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珍しく真剣に受け取ってくれたのかな。 そう思うと少し嬉しい、なんて考えていた私の心が一気に崩れ去るのはその約三秒後。 それは紛れもなく、この無駄に足が長い馬鹿男が私に向かって吐いた言葉の所為だ。 「女子って超めんどくせー。…希紅、お前今から性転換手術した方がよくね?」 私の中で、何かがガラガラと派手な音を立てて壊れていく気がした。 今すぐ藍斗の顔面に向かって右ストレートを思いっ切りかましてやりたい衝動に駆られる。 まて、落ち着け私。 ここは廊下、キレちゃ駄目。 例え藍斗のデリカシーがミトコンドリア程度だとしても、モデルの顔を殴るなんて駄目!! 後で周りの女子にバレたら溜まったもんじゃないんだから、だから抑えて自分…っ。 自分自身になんとか言い聞かせて黙っていると、その私の態度をどう取ったのかは知らないけれど、とにかく藍斗は追い討ちをかけるかの如く口を開いた。 _
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