1.淡桃色

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「ねっ、昨日の月9のアイト見た!?」 「みたみた! 心臓溶けるかと思ったぁ!!」 「「カッコよ過ぎだよねー!!」」 ふわりと頬を掠めていく朝の風が心地いい、午前7時30分すぎ。 今さっき高音を発しながら私の横を過ぎていった女の子達の後ろ姿が、十分小さくなったのを確認してから、大きく息を吐いてみた。 …アイト、ねぇ。 私の口から逃げていった空気の塊は、きっと目に見えないところで大気と同化していくんだろう。 そんな下らない事を考えながらもう一度深呼吸して、今度は肺に空気を溜め込む。 それからはもうひと思いに、喉を震わせるだけだ。 「起きろ藍斗、朝だよー!!」 _
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