588人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
哀れみたっぷりな眼差しで…。
「だって、カッコいいんだもん。」
「…どうしてわざわざ無理そうな相手を選ぶのか、気が知れないわ。同年代と高校生らしい恋愛を楽しみたいと思わないの?」
「思わない。」
きっぱり言い切った私に深い溜め息を残し、結衣は前を向いてしまった。
「ああ、それから…連絡事項。最近、学校の周りに変な男がウロついているらしいから、女子は早めに下校するように。男子は極力送ってやれよ。」
変な男…?
「先生、うちの女子なんか誰も襲わねーよ。」
ギャハハと笑って男子生徒が言うと、
「お前ね、うちの女子はレベル高いってこの辺じゃ専ら有名なんだぞ。特にこのクラスは粒揃いらしいよ?」
先生はニヤリと得意気に言った。
「やーだー、先生。オッサンくさーい。」
「お前らからしたら、オッサンなのは自覚してるよ。ま、そういうことだから、あんま一人で帰るなよ。
はい、じゃ解散。」
先生は出席簿を持って教室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!