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穴があったら入りたい…。
泣きたいのを我慢して、下唇を噛み締めていると、長く綺麗な指先が目に映った。
その指先で私の顎を捉え、くいっと持ち上げると、柔らかな佐伯先生の唇が重ねられた。
嘘っ…。
瞬きも忘れて先生の綺麗なドアップに驚いていた。
「……松谷…キスのときは、目を閉じた方がいいと思うけど。」
意地悪な笑みを浮かべた先生の顔を凝視していると、またゆっくりと顔を近付けるから、慌ててきゅっと目を閉じた。
フッと風を吹かせ小さく笑ったような気がしたけれど、すぐに唇が湿った感覚に覆われて意識がこちらに逸れる。
一瞬できた隙間は角度を変え、また塞がれた。
はぁ…先生─…
頭の中が、佐伯先生でいっぱいになる…。
吐息が行き交うみたいに、私たちを繋ぐ。
苦しいのに、気持ちいい…
くちゅっと音を立て、挿入された先生の舌の熱が、私の口内で溶け合う。
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