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佐伯先生の舌が私の口内を侵す…。 舌の裏側を撫でるように沿わせ、吸い上げ…転がした。 吐息を最後に残して、唇が離された。 「…松谷。」 「…はい…。」 「俺は今、お前にどうしようもない我儘なお願いをされたわけでも、聞いたわけでもないからな。」 「せん…せぃ…。それってどういう……」 混乱してついていけない…。 「俺の意志ってこと。」 「…先生の意志?」 先生はふっと笑って、私を腕の中に閉じ込めると、 「うん。キスってさ、身体を重ねるより、簡単にできるものだろ? …けど、気持ちがないとキスしたいとは思わないもんじゃないか。」 頭上から甘い声を降らせた。 確かに好意を持たない相手に、キスして欲しいとも、したいとも思わない。 「手を繋ぐよりは、ずっと近くて、身体を繋ぐ前の大切な気持ちの確認、みたいな。 だから俺は、キスには重要な意味があるって思う方なんだけどね。」 深いな…。 佐伯先生の言葉に共感して、キスって一番重要な役目を果たしてるんだ、と感動した。
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