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佐伯先生は腕時計を見ると、 「俺、16時から職員会議だからもう行くけど、今のは宿題だから。 じゃ、気を付けて帰れよ。」 そう行って、スタスタと歩き出して、ぴたりと止まった。 そして、くるっと振り返り、もう一度私の傍まで来ると、胸ポケットから携帯を取り出した。 「松谷、携帯。」 「…えっ?あ、はいっ!」 急いで制服のスカートのポケットから携帯を取り出した。 赤外線で送られてきた佐伯先生の携番とアドレスのデータが、私の携帯に表示された。 「時間ないから、後で番号、メールして。 それから、…もし帰りにまた変な奴につきまとわれたら、すぐ電話しろよ。」 ポンっと頭を撫でて、先生は今度こそ本当に校舎へと行ってしまった。
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