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『今日は帰り、大丈夫だった?』 ああ…携帯越しに聞く初めての佐伯先生の声が新鮮で、うっとりと聞き惚れてしまう。 『…松谷?』 「あっ、はい! 大丈夫です。」 やばい、やばい。 浮かれてる場合じゃない。 「先生はもう学校から帰ったんですか?」 『ああ。』 じゃあ今、家なんだ。 フフッ…学校以外で話してるなんてなんか不思議。 今だけは、佐伯先生を独り占めしてるんだと思うと、優越感でいっぱいになる。 『…松谷、お前さ。いつにも増して返答遅いけど、もしかして今電話まずかった?』 「えっ…ち、違います!そうじゃなくて、…佐伯先生と電話してるなんて現実味がなくて、浸ってるだけです。」 言ってて恥ずかしくなる。否定したくてつい言っちゃったけど、かなり恥ずかしい発言だよね。 『……。』 あれ? 「…先生?」 電話の向こうで突然黙ってしまう佐伯先生に、不安になって声をかけた。
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