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「結衣、いいって…。」 「良くない。不毛な恋してるおバカな志歩が、他の男に手出すかっつーの!何もしてないのに、言われるなんて悔しいじゃない。」 おバカって…。 確かにそうだけど。 正義感の強い結衣にとっては許せないことらしく、まるで自分が言われているかのようにキレ出すから、私の怒るタイミングはいつもない。 「言葉の途中で貶されてるとこはあったけど、ありがとう…。 でもね、私なんかを庇ったために、結衣に嫌がらせとかされるのはイヤだから、あんまり牙を剥かないでね。 一応女の子なんだから。」 「一応ってなに!?」 「ふふ…おバカの仕返し。」 笑って言うと口を尖らせる結衣が可愛くて、ぎゅっとしてあげたくなった。 でも本当に私のせいで結衣に何かあるのはイヤで、ずっと心配してるのに、彼女はまったくお構いなしだったりするから困る…。 「志歩、食べる?」 視聴覚室についた途端、これだもんね…。 持参していたポッキーを私に差し出した。 「食べる。」 パクっと食べると結衣は、金魚みたいと笑っていた。
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