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†† 火曜の放課後、閉館1時間前ともなると、誰もいなくなる静かな図書室で本の修復をしていた。 積み重なってしまった本を、そろそろ本棚へと戻さないと、狭いカウンターでは置く場所も限られ、崩れてしまいそうだ。 いったん手を止め、20冊ほど両手に抱えカウンターを出た。 前が、見えにくい…。 もう少し減らすべきだったかな、と上体を反らし体で支えながら、ゆっくりと歩いていくと、カラカラとドアの開く音がした。 「…相変わらず無茶するよな。」 呆れた声を私に浴びせる佐伯先生が私の傍までやって来ると、ヒョイと本を取り上げた。 「持っててやるから、お前は棚に戻して。」 「…すみません。」 先生を使ってしまうことに申し訳なく思いつつ、一緒に作業ができることが嬉しい。
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