恋の授業

４

恋愛経験がゼロの私に、今のこの関係がなにかなんて、わかるはずもない。

「松谷、言いたいことがあるなら、ちゃんと言えば？」

「えっと……岸田先輩には、…かっ、彼氏ができたって、言います。」

臆病な私は結局聞けないみたい。

チラッと佐伯先生を盗み見て、その反応を確かめようとする、自分の情けなさに呆れた。

「はい、よくできました。」

…え？

盗み見ていた顔をぐるんと先生に向けて、口をポカンと開けた。

「…なに？」

「あ…言って、いいんですか？」

期待で身体中が熱を持つ。
図々しいかなとか、いくらなんでもそれはないかとか、いろいろ考えてたのにっ…。