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くすくす笑う佐伯先生を、上目遣いで見つめると、
「お前のことからかってると面白い。」
と言って、キラキラした眼差しを向けられた。
新しいおもちゃを見つけたみたいな顔してる…。
「我慢するのはお互い様。」
「…どういうことですか?」
「卒業まで、キス以上のこと、するつもりないから。俺も我慢してるってことで、納得してくれない?」
ええ!!っと本当は叫びたかった。
でもそんなことしたら、欲求不満みたいに思われそうで、かろうじて呑み込む。
そんなの我慢しなくていいのに…。
先生の立場を考えれば、諦めるしかないけど。
「…わかりました。」
渋々な私の返事に、佐伯先生は目を細めて頭を撫で撫でしてくれた。
「ん。えらいな。」
「……。」
「そういう顔しない。俺だって辛いけど、今は、…松谷とこうして気持ちを通わせることができただけでも、幸せだから…。」
佐伯先生っ…。
胸にジンと沁みました。
尖らせていた唇を元に戻し、顔を赤くする私は、どうしようもないくらい好きって全身で訴えているような気がする。
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