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「ごめんっ!」
「すみません…。」
地面にきちんと足が付いたのを確認すると、彼はゆっくり私の手を離した。
「…大丈夫?」
「…はい…。」
落ち付いて良く見ると、かなりカッコいい人、なんだ…。
シャツの半そでから覗かせた腕も、筋張っていて鍛えられているのがわかる。
もしかして…運動部?
「俺…3年の岸田英博って言います。」
3年生、なんだ。
だから見たことないんだ。
「…突然呼び出したりして、ごめん。」
私は返事の代わりに小さく頷いた。
「俺、松谷さんが入学した時からずっと好きで…。その、もう3年だし、このまま卒業したくなくて…なんて言うかその…もしよかったら付き合ってくれないかな?」
「あの…ご、ごめんなさい。」
「……。」
沈黙する彼に、どうしていいのかわからずに地面の芝生を見つめた。
何か、言葉を見つめけなきゃ、と考えれば考えるほど、頭の中が真っ白になる。
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