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「…なに、これ。」 私が想像していた答えとだいぶかけ離れていて、ガクッと項垂れそうになる。 …突然渡したら、そういう反応が普通だけど。 「今朝、下駄箱に入ってたんですけど…。何が言いたいのかわからなくて。 結衣とも話してたんですけど、恋の詩なのか、恨みの手紙なのか、見当も付かなくて…。」 佐伯先生は片方の手を顎に当て、考えてるようだった。 「何かの引用か?松谷、お前最近何か変ったこととかない?」 「…特には。」 「印刷されてるし、誰の字かも特定できないしな…。愛の詩にしても恨みの手紙にしても、危ないよな…。」 愛の詩でも危ないの? 意味が分からず、私は先生に問いかけた。 「先生…愛の詩だったとしたら、危なくはないんじゃないですか?」 「この内容でそう判断するのは危険だな。松谷…愛ってさ、憎しみに変わることがあるって知らないの?」 「愛が、…憎しみに?」 先生は少しばかにするようにフッと笑って、 「愛しすぎて、相手が自分の思い通りにならないことに、憎悪を感じるヤツもいるんだよ。」 と教えたくれた。
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