588人が本棚に入れています
本棚に追加
「…なに、これ。」
私が想像していた答えとだいぶかけ離れていて、ガクッと項垂れそうになる。
…突然渡したら、そういう反応が普通だけど。
「今朝、下駄箱に入ってたんですけど…。何が言いたいのかわからなくて。
結衣とも話してたんですけど、恋の詩なのか、恨みの手紙なのか、見当も付かなくて…。」
佐伯先生は片方の手を顎に当て、考えてるようだった。
「何かの引用か?松谷、お前最近何か変ったこととかない?」
「…特には。」
「印刷されてるし、誰の字かも特定できないしな…。愛の詩にしても恨みの手紙にしても、危ないよな…。」
愛の詩でも危ないの?
意味が分からず、私は先生に問いかけた。
「先生…愛の詩だったとしたら、危なくはないんじゃないですか?」
「この内容でそう判断するのは危険だな。松谷…愛ってさ、憎しみに変わることがあるって知らないの?」
「愛が、…憎しみに?」
先生は少しばかにするようにフッと笑って、
「愛しすぎて、相手が自分の思い通りにならないことに、憎悪を感じるヤツもいるんだよ。」
と教えたくれた。
最初のコメントを投稿しよう!