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†† ピーッ!と体育の真柴先生が笛を鳴らし、5人一斉に走り込む風景をぼんやりと眺めていた。 「志歩、あんまり気にしちゃダメだって。私がついてるから。」 「…うん。」 そう、一人じゃない。 結衣も、金やんも、…佐伯先生もいてくれるんだから。 だいたい何を訴えたいのかわからないことに、頭を悩ませていても仕方ないし。 「次、志歩だよ。」 「あ…行ってきます!」 スタートラインに5人並ぶと、一気に緊張感に包まれる。 フライングしないように気をつけなきゃ…。 「位置について、よーい…ピッ!」 タッと土を蹴る音が響く。 今日は実技のテストということもあって、みんな真剣に授業を受けていた。 ふぅ…。 肩で息をしながら、膝に手を付いて呼吸を整える。 最後の列の結衣たちのグループも走り終え、ゴールすると私に抱きついてきた。 「松谷。」 「はいっ!」 真柴先生に呼ばれ、近付いていく。 ふざけてたから怒られるかな…。
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