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思いっきりしまったという顔をしていると、
「お前、陸上部に入らないか?」
真柴先生は真面目な顔をしてそう言った。
…は?
「素人なのに良いタイム出すじゃないか。」
「え?そ、そうですか?」
「先生!志歩が部活入っちゃったら、私寂しいじゃないですか。」
結衣が私の肩を抱きながら、会話に入って来た。
「寂しいって…。吉田は松谷の可能性を応援してやろうとは思わないのか?」
「そんなこと言って、先生は陸上部のことしか考えてないでしょう?」
「くっ…痛いとこつくな、お前。」
苦笑を浮かべる先生に、私たちも笑った。
30代前半の真柴先生は、話しやすくて面白くて人気の高い先生だ。
いかにも熱血教師みたいな感じで、部活動の指導も厳しいが、生徒一人ひとりきちんと素質を引き出していくと評判で、地区大会でも常に上位をキープしている。
「だったら吉田、お前も一緒に入らないか?お前の運動神経も俺は高く買ってるんだぞ。」
「怠いからヤダ。」
「お前…。」
しょぼんとする先生に、私も結衣も声を上げて笑ってしまう。
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