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「真柴先生、また授業中にスカウトしてるんですか?」 同じクラスの柳さんが呆れたような視線をよこしながら、先生の横に並んだ。 話したことはなかったけれど、確か柳さんは陸上部で棒高跳びで中学時代から好成績を残して、去年も全国がとか言われてたはず。 有名な生徒は勝手に情報が入ってくるのも、本人にしてみればどうなのかわからないけれど、人と接点のない私にとっては名前を覚えられる方法だ。 「柳、お前も松谷の脚力欲しいと思わないか?」 「…確かにそうですけど…松谷さん嫌がってるじゃないですか。」 「それをその気にさせるのが俺の仕事だろ。」 柳さんは困った顔をして私の方を見た。
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