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††
放課後、閉館時間1時間前になると、いつも通り佐伯先生がやって来た。
「入ってた手紙、貸して。」
先にメールを送っていたので、来るなり先生は私から今朝入っていた手紙を受け取り、なにやら紙に書き写し始めた。
難しい顔をしている先生に、緊張が走る。
「松谷、…お前、昨日告白された?」
ペンを走らせたまま私を見ずに問い掛けられた。
どうして知ってるんだろう…。
「…はい…。」
「ちゃんと連絡しろって言っただろ?何かあったらどうするんだ?」
「すみません…。」
週の始まりから不愉快な気持ちにさせたくなくて、黙っておいたのに…。
それなのにどうして先生は知ってるんだろう。
「どこかで、見てたんですか?」
「見てないよ。」
「それじゃどうして…。」
戸惑いを浮かべる私に、佐伯先生はフッと笑って、特に答えてくれなかった。
もう…いつもそうなんだから。
意地悪…。
どうして知ってるのか聞くのを諦めて、真剣に謎解きをしている先生を見ていた。
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