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「ほら、見て。これがお前から預かってた先週の手紙。」 ──秋のミサを染み来て悔いてる。 阿蘇の薔薇に恋知る─… 朝耳無し、楽になり逝くよ。 愛が散り散り、塗りけり── 佐伯先生に改めて差し出されて覗いて見たけれど、さっぱりわからない。 答えを求めて先生を見つめた。 「これを、全部ひらがなに書き換えてごらん。」 ひらがなに…? 差し出された紙とペンを持ち、書いてみる。 あきのみさをしみきてくいてる あそのばらにこいしる あさみみなし、らくになりいくよ あいがちりじりぬりけり 「うん。それで、最初の字から一字ずつ抜いてみて。」 最初の字から一字抜くって…。 きみをみている そばにいる さみしくないよ いちじぬけ 「……。」 「な?ラブレターだっただろ?最後にヒントまでつけてくれてさ。」 「えっと…それじゃあ今日のは……」 「はい。」 佐伯先生が先程紙に書いてたのを見せてもらった。
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