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これなら普通に呼び出される方がずっとマシだと思う。 得体の知れないものに怯えるより、正面切って僕ですって言われた方が精神的に楽だよね。 …てか、今も見られてるのかな? 視線を泳がせていると、佐伯先生が腕を伸ばし抱きしめてくれた。 「っ…ダメ、先生っ…」 先生の胸を押し返そうと力を加えているのに、力強い腕の中ではビクともしない。 こんなとこ見られたら、先生と一緒にいられなくなっちゃう。 そんな不安が頭を過り、嬉しいはずの佐伯先生の腕を、拒絶するしかなくなった。 「大丈夫だよ。お前のことは俺が守るから。」 私だって、それは同じなんだけどな…。 「私も、…先生のこと守りたいです。」 私の立場も、佐伯先生の立場も、どんなことしてるかも理解しているから。 私は生徒で、…先生は教師…。
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