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あと1年半、秘密の関係で構わない。
佐伯先生がいるこの学校だから、今まで私は頑張れた。
唇を離し、見つめられる。
「お前への気持ちを受け入れたときから、…辞める覚悟はできてたから。
本当は、学校や誰かにバレたときじゃなく、今すぐにでも俺は教師を辞めるべきなんだと思うよ。
それがお前ら生徒への誠実だと思う。騙して、偽った状況で、何を信じさせ、教えることができるのかって…。」
「佐伯先生…私……」
離れなきゃいけない。
そんな風に先生を悩ませるくらいなら、そんな選択をさせるくらいなら……
「…待ちます。あと1年半。
堂々とみんなに言える日がくるまで…だから、先生も待っててください。」
「待たない。」
「えっ?」
「卒業するまで、お前に手は出す気はないけど、このままお前を手放す気はない。
たとえそれで教師を辞めることになったとしても。」
トクンと鼓動が鳴った。
胸が熱くなって、いろんな感情が込み上げてくる。
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