588人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな佐伯先生の想いを、私は受け止めきれるのかな…。
まっすぐに私との関係に向き合ってくれる先生の想いに、どうやって応えていくべきなんだろう。
ただ、守られるだけの、足手まといなだけの存在になりたくない…。
何もできなくても、せめて、佐伯先生にとって安らげる、そんな場所でありたい。
なのに私は……
「泣くなよ…。」
困ったような顔で私を見つめる瞳に、胸を締め付けるような苦しさが襲う。
困らせたいわけじゃないんだよ、先生…。
自分の存在がとてもちっぽけで、嘆かずにいられないだけ。
「…私が頼りないから、先生は一人で抱え込まなきゃいけないんですね。
私、…もっと……」
ぎゅっときつく抱きしめられると、先生の香りに包まれた。
「そういうことじゃないよ。
俺が単にお前を諦められないだけだから、松谷が気にすることは何にもないんだ。」
髪を撫でて、子どもをあやすように、柔らかい口調で話す先生の胸に、頬を擦り寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!