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††
『案外こういうのってすぐ近くにいたりすることもある』
そう言った佐伯先生。
…すぐ近く…?
私はなにか見落としているのかな?
それとも鈍すぎて気付いていないだけ?
学校では結衣としかいないし、他に興味の対象がいないから、目を向けることがなかった。
「……ほ…志歩!」
「…え?」
「え?じゃないよ。どうしたの、ぼぉっとして。
大丈夫?」
昼休みの中庭で、心配そうに覗き込む結衣の双眸に驚いた。
近っ……
「佐伯先生に相談したんでしょ?」
「あ、…うん。」
「なんて言ってたの?」
結衣に昨日の先生が謎解きをした文章の内容と、時間帯から学校の関係者だという確率が高まった話をすると、腕を組んで渋い顔をした。
「どうしてそんな凝り固まった文章にする必要があるわけ?
ラブレターならしっかり愛を書いちゃえばいいのに。あんなの不気味でしかないじゃない。変態なの?」
怪訝そうな表情で、一気に話す結衣に苦笑いしてみせた。
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