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真柴先生は小さなため息をついて、
「…無言か…。そんなに入りたくないのか?
もったいないよなぁ、その脚力…。」
がっくりと肩を落とすのを見て、思わず笑ってしまう。
「笑い事じゃないよ。俺はとてつもない逸材を見つけたと思ってるんだぞ。」
「お気持ちは嬉しいんですけど…。」
俯く私の肩に真柴先生はポンと手を置いた。
「悪い、悪い。そんな深刻に悩むな。
確かにめちゃくちゃ惜しいけど、無理強いする気はない。
ま、職業柄ってやつだから、気にするな。勧誘してるうちに、もしかしたら、どこかで気持ちが揺れるかもしれないだろ?」
先生はニッと少年のような笑顔を浮かべ、私はホッとした。
「ほら、そろそろ行かないと遅刻するぞ。」
「…はい。失礼します。」
先生にお辞儀すると、
「ん。頑張れよ。」
優しい笑みを浮かべ手を振った。
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