5/32
前へ
/258ページ
次へ
…相変わらずモテてるんだね。 そんな佐伯先生を見ると、ちょっとだけ切なくなる。 付き合ってるってこと自体、夢でも見ているんじゃないかと思ってしまう。 「それじゃ、委員長、月例始めて。」 騒がれることに慣れているのか、佐伯先生は特に興味なさげに、3年生の委員長に声をかけ、窓際にパイプ椅子を置いて、委員会の様子を見守っていた。 少し素っ気ないその横顔が、モヤモヤした私の気持ちを軽くする。 現実味がなく、自信のなかった私に、少しだけ… 一瞬合わせられた先生の瞳が柔らかさを帯びていた。 大丈夫。 私は、先生の恋人なんだから。 他の女の子にフラフラしたり、先生はしないもの。 そんな簡単な想いじゃないの、私たちは。 覚悟なしで貫けるような関係じゃないから。 みんなを裏切って、欺いて…そういう罪悪感とか責任とか、先生は全部背負ってる。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

588人が本棚に入れています
本棚に追加