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軽く自己嫌悪に陥っていると、
「大丈夫?」
覗き込むように川端君が聞いてきた。
「あ…うん。大丈夫。」
安心させようと笑顔を浮かべると、彼は一瞬身体を引いて顔を反らした。
「…とりあえず早いとこ、本、探そう。」
「うん。」
なんか、怒らせるようなことしたかな?
不思議に思いながら、本棚に視線を移した。
選んだ本を数冊重ねて準備室に戻ろうとしたとき、俯いて歩いていた私の視界に、ネクタイが映り込んで慌てて足を止めた。
後ろに倒れそうになる身体を素早く支えられて、
「大丈夫?」
…転ばずに済んだ。
「大丈夫…です。すみません。」
支えてくれた、声の主に一瞬で顔が赤くなる。
無事を確認するとスルリと、その愛しくて堪らない佐伯先生の腕が離れ名残惜しい。
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