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佐伯先生は小さく笑うと、ゆっくり私の耳元に唇を寄せた。 「モノ欲しそうな顔してるけど。」 「えっ…?」 身を引いて先生を見ると、悪戯っ子みたいな顔でニッと笑うから…。 …からかわれた。 「松谷、そろそろ戻らないと……あ、佐伯先生。」 川端君も本を抱え俯き加減でやって来て、顔を上げ先生がいることに少し驚いていた。 「川端も松谷も本に意識がいってて、…ちゃんと前見て歩かないと危ないよ。」 そう言い残し、先生は先に準備室に戻って行った。
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