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鞄を持ち廊下に出たところで、携帯が震えた。 開いて見てみると、佐伯先生から、送るからいつもの所で待っているようにと、メールが届いた。 やったぁ!嬉しい。 逸る気持ちを抑え、足取り軽く廊下を歩いた。 いつもの場所。 私たちの秘密の待ち合わせ場所。 上靴を履き替えて、ふと過る先生の言葉。 『案外こういうのってすぐ近くにいたりすることもあるんだよ。』 キョロキョロと首を振り、辺りを見回した。 …誰もいない、よね…? 悪寒が走り、背筋がゾゾーっと寒くなる。 今、見つかるわけにいかない。 先生を守らなきゃ。 大きく深呼吸して、その場を駆け出した。 真柴先生にスカウトされてるくらいだし、きっとそれなりに速いはず。 そう自分に言い聞かせながら。
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