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佐伯先生は、…そういうことしたいとか、思わないのかな?
いつも触れたいとか、触れて欲しいとか、キスがしたいとか考えてるのは、…私だけ、なのかな?
車を走らせた先生の横顔をぼんやりと見つめ、そんなことを思った。
「今日はあまり喋らないんだな。」
ポツリと呟かれた言葉が耳に届く。
「体調良くないとか?」
チラッと私を見るから、慌てて首を横に振ると、また視線を道路に戻した。
「それじゃ、遠慮してるとか?」
「……。」
「ただでさえ、俺とお前は教師と生徒で…縮めたくてもどうしても縮まらない距離があるんだから、これ以上微妙な距離、作るなよ。」
先生の少し寂しそうな横顔が、胸の奥をぎゅっと掴まれたように痛い。
先生…。
そんな風に感じてたの?
「松谷が俺を思って遠慮したり、我慢したりする気持ちはわかってるし、そう思ってくれることは嬉しい。
けどな、俺はお前にそんなことをさせるために、一緒にいるわけじゃないんだよ。」
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