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だから、どうしても聞きたい。 好きって直接言ってくれなくてもいいから、せめて先生が教えてくれた、人を好きになったら誰でも思うことなら、…肯定してほしい。 それだけで十分だから。 求めるように見つめてしまうと、佐伯先生はフッと笑って目尻に皺を作った。 「当たり前だろ。だから、あんまり煽るようなこと言うなよ。」 ゆっくりと影を作り、柔らかな唇が私の唇に重ねられた。 佐伯先生…好き。 大好き。 「好き、先生…」 泣きたいくらい溢れる好きを、先生にわかってほしい。 掠れる声が先生の耳に届いたのかわからないけど…。 「…好き……」 流した涙の上からそっとキスをしてくれた。
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