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柔らかな唇の感触。 躊躇わない舌の動き。 期待が広がり脈を速めるのか、未経験の不安が脈を速めるのか、自分でもわからない。 わからないけど、心は満たされていく。 触れられている、ただそれだけで。 いろんな場面で先生を好きだと思い知らされる。 想いに終わりがないと実感する。 どこまでも貪欲に、先生のすべてが欲しくて欲しくてたまらない。 先生の心も、時間も、温もりも全部欲しい… 佐伯先生の指先が奏でる度に、私の口から自然に溢れる乱れた吐息。 こんな息遣いができたんだ。 「…センセ…ッ…!!」 自分の新たな一面に、急に怖くなって先生を呼ぶ。 けれどそれは少し高い、甘えた声。 「松谷…。」 少し掠れた声も、切な気に見つめる瞳も、すべて愛しい… 「先生の…全部をください。」 ワガママな願いはしないと決めたけど。 先生を困らせないと誓ったけど。
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