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「後悔、させるつもりはないけど、…たとえこの恋が、どういう結果になるにしろ、お前にはいい恋だったと思えるようにしたいな。」 先生…。 甘ったれで子どもの私に、そんな言葉もったいないよ。 「それが、今の俺の願いかな。」 「だったら先生…その願いはもう、叶ってますよ。 後悔もしてないし、いい恋だって思ってます。」 「今はね。感情が高ぶってるときは、誰でもそう思うものだよ。 そうじゃなくて……何年か先に自分を振り返る日がきたとき、そのときの想いに懐かしさと一緒に、今感じてる鼓動や高鳴りを思い出せるくらいの、そんな恋であればいいと思う。」 抱き締め返す腕の力が強まると、佐伯先生の想いの切なさまで伝わってくるみたいだった。 「…先生…私たちの恋は、誰にも言えないけど…。 でも今のこの気持ちは、胸を張って誇れます。 先生を好きになれたこと。」 「松谷…。」 この腕の温かさも、香りも、優しさも、すべてと引き換えにしてくれようとしてる先生の気持ちも、絶対忘れないから。
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