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もう一度、先生の首に腕を回し、抱き付いた。 私よりも大きくて、ずっと頼りになるその身体を抱き締めてあげたくて… 「…先生…。」 「ん?」 「私は、今しかできない恋、ちゃんとしてます。 この気持ちは、今の私にしか持てないものだし、…先生と過ごす時間が何より幸せだから… だから、辛くありません。 もし先生が私のためだと判断して、私から離れてしまうようなことがあったら、その方がずっと辛いです。」 大人が話すように上手く伝えられない自分が悔しい。 「私がもっと大人で、先生が悩んでるときに、たどたどしくなく、上手に表現できたら良かったのに…。 子どもでごめんなさい。」 早く大人になりたい。 先生に追いつくことも、追い抜くこともできないけど、それでも…先生が弱音を吐けるような、ちょっとでも頼りにしてもらえるような、そんな存在になりたい…。 「急いで大人になる必要ないよ。 焦らなくてもいい…。 俺だって、…選んだのは今のお前なんだから。 だから、今の自分を否定するな。」 先生…。
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