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あんな状況になっても、理性を保てちゃうんだもん。 残念なような、悔しいような、複雑な心境。 ワガママ言わないって誓ったのになぁ… あ、先生に言ってないからこれはセーフ、だよね。 数時間前まで、佐伯先生のあんなに近くにいたんだよね。 膝を抱えると微かに残る先生の香水。 ぎゅっと力を入れ、包み込まれる感覚に幸せを感じる。 ……佐伯先生、好き。 先生、今何してるの? 私のこと、考えてたりする? 淡い期待が膨らむ。 同じだったらいいな…。 こんな風に、さっきまでの私の温もりを、思い出してくれてたら、嬉しい。 誰にも言えなくても、お互いにこうして想い合えていたら、秘密の関係でも辛くない。 だってそもそも、…誰かに公表するものでもないのだから。 …なんて、正当化してるだけか。 私たちはただ普通に愛し合ってるだけ、なんだけどな…
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