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ドアを後ろ手に閉めて、
「さっきの、男の話。」
私の瞳を覗き込むように続けた。
さっきの男の話って…響ちゃんまで追求するの?
でも、本来なら彼氏自慢とかしちゃうんだろうな…。
「俺も圭介もさ、お前が男嫌いなんじゃないかって思ってたわけ。
お前モテるし、…てか、モテ過ぎて逆に酷い目に遭ってきたことも多いだろ?
だから、心配なんだ。」
…そう、だよね。
小中高とずっと一緒だった響ちゃんは、私の事情を知ってる。
もちろん家族の兄だって。
「去年も、さ…。」
小さな声で遠慮がちに言うのは、まだ忘れるには日が浅いから、だよね…。
佐伯先生に助けられたあの件を引き摺っているのは、私だけじゃなかったんだ。
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