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淡々と出席簿を読み上げ、生徒の顔を確認していく佐伯先生。
今日もカッコいい…。
「塚本……西野は確認済み…っと。
樋口……」
「ちょっと先生!!私も先生に呼ばれて返事したーい!」
相変わらず押しが強い…。
西野さんの言葉に教室中がドッと笑いに包まれる。
前はこんなやり取りができる西野さんが、羨ましくて仕方なかった。
でも今は、…ちょっとだけ優越感と、大きな罪悪感が襲う。
「…西野、静かにしてれば名前呼ぶけど、お前がいることはこれ以上ないくらい確認できてるから、もう必要ない。
じゃ、続けるぞ。」
「ちょっと先生、ひどーい。」
「……西野。」
「はい!」
ギャハハっと笑う生徒たちに先生も苦笑いした。
「呼んだから静かにしてろよ。
福田……松谷。」
「はい。」
目が合う。
小さく頷く先生に、ニヤケてしまいそうになる。
「八木…『わかった!!』」
両手を上に上げ突然叫び出す結衣に、クラスメイトの視線が一斉に集中した。
「あ……へへっ…。」
肩を竦め笑って誤魔化す結衣が可愛い。
「へへっ、じゃない。吉田…お前、名前呼ばれる直前に叫ぶな。」
「ははっ…先生、私いるよ。」
「わかってるよ。」
大きな溜め息をついて、佐伯先生が今日の連絡事項を告げた。
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