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クルリと私の方に身体を向けた結衣は、 「志歩、見て。」 そう言ってさっきの紙を私に渡した。 紙に目を落とすと結衣が指をさしながら小声で説明してくれる。 「今回は一字じゃなくて、二字抜くみたい。」 二字? 書き写してくれた文を読んでいく。 あいしてるとつたえたのに。 なぜわからない。 きみだけをみてきみだけをあいしてる。 はやくきづいて… ぼくだけのものになれ 本当だ…。 「ね?」 「ね?じゃない。 松谷と吉田以外は移動していいよ。」 いつの間にか私たちの席に来ていた佐伯先生に、私たちは死ぬほど驚いた。 ガタガタと椅子を鳴らし、教室を出ていくクラスメイト。 西野さんのグループだけは、先生と話したいのかこちらの様子を伺いながらまだ移動せずにいた。 「…これ、今日入ってたの?」 「はい…。」 チラッと先生を見上げると、厳しい表情をしてその紙に目を落としている。 「ちょっと先生~!」 西野さんが痺れを切らしたのか、先生の横に立ち腕を掴む。 サッと手紙を折り畳み、 「松谷、これ預かっておくから。 西野も早く移動しないと遅刻するよ。 お前らも。」 スーツの胸ポケットに仕舞うと、私たちに移動するよう促した。
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