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机から教科書を出し、移動の準備をしていると、
「先生、今度家に遊びに行きたーい。」
西野さんたちがまだ先生に絡んでいる。
先生を囲んで、腕に触れ楽しそうに話す彼女たちに、チクッと胸の奥が痛む。
「遊んでる暇なんかないだろ?あっという間に受験シーズンがくるんだからしっかり勉強しろ!
さっさと移動して。本当に遅刻するぞ。」
「先生くさいこと言わないでよぉ。」
「くさいじゃなくて、先生なんだよ。ほら、行くぞ。」
呆れたような声が響いてきた。
「私ヤらせてあげるからっ!」
ヤらせて…大胆な西野さんの発言に、思わず教科書を落としそうになる。
「はぁ…お前なー。女の子がそういうこと言うんもんじゃないよ。」
そんな声を背に受け私たちは教室を出た。
「志歩…大丈夫?」
遠慮がちに尋ねられ、結衣を見た。
「…西野さんパワフルだよね。志歩も見習ってもう少し大胆に攻めた方がいいんじゃない?」
「……。」
あの修業僧のような先生に…?
「ははっ…まぁあれはさすがにドS先生でも引いてたから、見習わない方がいいね。」
…それは言えてる。
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