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真柴先生が、ははっと笑って、 「驚きだよな? なんか線も細くて大人しいイメージしかない松谷が、まさか運動神経良いなんて想像するのも難しいだろう?」 佐伯先生に追い打ちをかける。 「松谷は断ったの?」 「…はい。」 「そう。俺はフラれっぱなし。 佐伯先生からも何とか言ってやってくれよー。」 佐伯先生はチラッと私に視線を戻すから、小さく首を横に振って見せた。 助けて、先生…。 「真柴先生…松谷は唯一サボらないで委員の仕事をしてくれる貴重な存在なんです。 陸上部にとられるのはちょっと辛いですね。」 「んー!?そうか…そうなのか…。」 「もちろん松谷が入部したいというのであれば応援しますけどね。」 先生っ!味方になってくれてありがと。 庇ってくれて嬉しくて、ホッと胸を撫で下ろした。 「もったいないけど、仕方ないか…。 若手の先生を困らせるのも気の毒だしな。 けど佐伯先生。サボリの生徒は早いうちに捕まえて説教しなきゃダメだぞ。 松谷は毎週当番に出てるのに、サボリがいるために一人に負担がかかるのは不公平だし。」 「…そうですね。サボリ常習犯は後で呼び出してきちんと話します。」 佐伯先生は苦笑して肩を竦めた。 ごめんなさい…先生。 私のせいで先生までお説教されてしまって、心苦しくなってしまう。 ちょうど生徒玄関の前についたので、 「真柴先生、佐伯先生…さようなら。」 「おう、気を付けて帰れよ。」 「お疲れ。」 二人にお辞儀して別れた。
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