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「気を付けろよ。」
「…え?」
「お前の呼び出される場所、…まあ、告白するために選んでるんだから、当然と言えば当然なんだけど、人目につかない場所ばかりだから。」
もしかして、佐伯先生…。
まさか、ね。
「…はい。」
期待を打ち消すように、笑って返事をした。
「毎回助けに行けるとは限らないからな。」
「……。」
驚いて声を出すことができなくて、もう一度頭を下げて踵を返した。
"毎回助けに行けるとは限らないからな"
先生、覚えてくれてたんだ…。
もう、とっくに忘れられてると思ってた。
だってあのとき先生が助けてくれたのは、教師として当たり前って思ったからで、いちいちそんなこと、覚えててくれてるなんて思ってなかった。
どうしよう…。
めちゃめちゃ嬉しい…。
ドキドキと高鳴る鼓動が今も続いてる。
幸せすぎて、どうしてもニヤケちゃう。
ダメだ。
先生の前じゃないから、我慢できない。
緩む頬を隠すように押さえて、私は教室に戻った。
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