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教室に入ると、結衣が私の席と自分の席を向かい合わせにくっつけて、漫画を読んでいた。
席まで行くと顔を上げ、
「遅かったね?結果はわかってるけど、どうだった、告白。」
ニヤニヤしながら聞いてきた。
「わかってるなら聞かないでよ…。」
溜め息を吐きながら、お弁当を机に広げた。
「だって、あの岸田先輩だよ?ちょっとは気持ち揺れたりしなかったの?」
「…しなかった。」
「頑固だね。」
「…一途って言ってくれる?」
そう佐伯先生にも評価されたのだから。
やばい、またニヤケそう…。
「断ったわりには、ずいぶんと長かったよね?てっきり襲われてるのかと思った。」
「あのさ、結衣…。そういう心配したなら、探しに来てくれても良かったんじゃないの?」
いつも女子から守ってくれるくせに。
「行ったよ。」
「え?」
私は結衣の顔を見て、ぱちくりと瞬きを数回繰り返した。
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