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走り去る先輩の背中を見送って、カウンターに戻ろうと振り返ると、佐伯先生がいてビックリして足がもつれた。 「…っと。」 背中を支えられて、後ろにひっくり返りそうなのは免れたのだけど…。 密着していることに心臓が破裂しそう。 ふわりと香る先生の爽やかな香りと、微かな煙草の香りにクラリとする。 近いよ、先生…。 嬉しいけど、息が上手くできない。 「す、すみませっ…」 「大丈夫か?」 心配そうに覗き込まれ、小さく頷いた。 「悪いな、タイミング悪く来ちゃって。 ことごとく、岸田の青春目撃しちゃうよな、俺。」 私の背中を支えていない方の手の指先でこめかみをかいて、申し訳なさそうにする先生に、恥ずかしくなってしまう。 タイミング悪いのは、私の方な気がしてならないのは、先生に告られ現場を見られているからだよね…。
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