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うん、完璧。
満足感に浸っていると、クスクスと笑う先生の声が聞こえて、左側に顔を向けた。
「職人みたいな顔してる。」
「うっ…。」
夢中になり過ぎて先生の前だというのに、キメ顔を保てていなかった自分が悲しい。
佐伯先生は本を閉じ棚に無造作に置くと、
「岸田と仲良くなったんだ?」
唐突に聞かれた。
これは…。
結衣の作戦を仕掛けるべきだろうか?
題して、妬かせてしまおう大作戦…とか言ってたよね。
男子と仲良いんだよってアピールする、だったよね?
「…えっと…まあ、友達?…なので。」
「ふっ…。友達、ねえ。
そういえば、メアド交換してたもんな。」
「はい。」
……。
妬くどころか、…普通、じゃない?
それもそうか。
先生は別に私のこと好きなわけじゃないんだから、ヤキモチ妬くはずないもんね。
…失敗。
「岸田、どう?」
「…え…?」
どうって、どういうこと?
勧められてるのかな…。
そう思うと、切なくて仕方ない。
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