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佐伯先生は少しバツの悪そうな顔をして、
「松谷ほどじゃないよ。」
苦笑いした。
ちょうど、チャイムが鳴り、閉館の時間が訪れる。
もう少し、先生といたかったな…。
毎度のことながら、別れるときはいつもこんな風に思ってしまうのだ。
補修し終えた本を記号と番号を確認して、戻すためにカウンターを出る。
はの2-23…は…は…あ、あった。
次は2…えーっと23は…上段に位置するため、折りたたみの踏み台を置き上って元の位置に収める。
踏み台を持ち、カウンターへと戻ると、
「上だったなら、呼べばよかったのに。」
私からそれを受け取り、折りたたんで壁にかけた。
「そのための踏み台ですから。先生を使うなんてできません。」
「固いな。立ってるいるものは親でも使えって知らないのか?」
「…先生、それは急用のとき、ですよね。」
先生は声を上げて笑った。
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