12/26

588人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
佐伯先生は少しバツの悪そうな顔をして、 「松谷ほどじゃないよ。」 苦笑いした。 ちょうど、チャイムが鳴り、閉館の時間が訪れる。 もう少し、先生といたかったな…。 毎度のことながら、別れるときはいつもこんな風に思ってしまうのだ。 補修し終えた本を記号と番号を確認して、戻すためにカウンターを出る。 はの2-23…は…は…あ、あった。 次は2…えーっと23は…上段に位置するため、折りたたみの踏み台を置き上って元の位置に収める。 踏み台を持ち、カウンターへと戻ると、 「上だったなら、呼べばよかったのに。」 私からそれを受け取り、折りたたんで壁にかけた。 「そのための踏み台ですから。先生を使うなんてできません。」 「固いな。立ってるいるものは親でも使えって知らないのか?」 「…先生、それは急用のとき、ですよね。」 先生は声を上げて笑った。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

588人が本棚に入れています
本棚に追加