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「消毒するから、また痛むと思うけど、我慢しろよ?」
人差し指にガーゼを当て、消毒液をかけられると傷口にしみて、顔をしかめた。
先生は私の手を自分の口の高さまで持ち上げると、形の良い唇を少し尖らせるようにして、ふうっと息を吹き掛けてくれる。
うわっ…。
ふうふうされてる。
「まだ痛い?」
痛いと言えば、まだふうふうしてもらえるのかな?
そんな邪な考えが頭を過ったけれど、恥ずかしさに堪えきれず、正直に首を横に振った。
それを見て先生は救急箱に手を伸ばすと、絆創膏を取り出し指に巻き付けて、
「はい、できた。よく我慢したな。」
そう言って優しく微笑むと、頭を撫でてくれた。
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