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鍵を閉めて先生に渡すと、指先がほんの少し触れた。
たった一瞬なのに、電流が全身にビリビリと流れるような感覚に心臓はMAXに暴れ出す。
「松谷、気を付けて帰れよ。変質者出没してるんだから、ちゃんと大通り通って行けよ。」
「はい。…さようなら。」
お辞儀して私は渡り廊下を、先生はそのまま正面の階段を降りて、それぞれ生徒玄関と職員室に向かった。
ああ、もうめちゃくちゃ嬉しい。
ニヤける頬をどうしていいのかわからない。
学校を出てもなお、一人でニヤニヤしている私って怪しいよね…。
怪しいといえば…学校の周辺に変な男が出没してるって、先週佐伯先生、朝のHRで言ってたし、さっきも注意されたばかりで。
考えると妙に音に敏感になってしまう。
そぉっと後ろを振り返って、誰もいないか確認してみたり…。
ていうか、ニヤけたり、挙動不審だったり、よっぽど私の方が変な人だと思う。
ほっこりした気分が消えてしまわいように、歩く速度を速めた。
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