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大通りを過ぎたところで、夕焼けが消えかけ少し暗くなってきた。
さっきから、つけられてるような気がしてるのは、気のせいだろうか。
コツコツ…コツっ…。
速度を遅くしたり、速めたりしてみてるけど、どうしても私の歩調を真似ているようしにか聞こえない。
思い切って振り返るにしても勇気がいることで、数分前から躊躇していた…。
いったいどうしたものだろう。
走ったりしたら、変に刺激してしまうんだろうか。
待って…。
その前にもう少し先に進んだ角を曲がると、小さいけれどトンネルがある。
あれを抜けないと家には帰れないのに…。
半べそをかいて、鞄を胸にぎゅっと抱き締めた。
どうしよう…怖い。
迷いが歩く速度を落とす。
さっきまでの胸の高鳴りとは似ても似つかない心臓の音が、冷汗とともに体中に流れた。
足音が近付いてくるっ…!
本気で泣きそう。
そのとき後ろから車のライトに照らされた。
走っちゃおう!そう決めて少し駈け出した時、フォンとクラクションが鳴った。
…え?
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