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綺麗な横顔に惚れ惚れしてしまう…。
こんな密室にふたりきりだなんて夢のよう。
心配してくれてる佐伯先生には申し訳ないけれど、不謹慎だってことも十分理解しているけれど、嬉しい。
「松谷、…案内して。」
「あ…。はいっ。」
夢見心地から我に返り、道案内をした。
家の少し手前で停車した車。
「…ありがとうございました。」
ぽつりと呟いた言葉に先生が私を見つめた。
その真剣な眼差しについドキリとしてしまう。
「松谷、図書委員のときはしばらく送るから。」
え…?
突然の申し出にきょとんとして、佐伯先生の顔をマジマジと凝視した。
「…何かあってからじゃ、遅いから。さっきの男も気になるし。
この辺り、人通りも街灯も少ないし、女の子1人じゃ危ないだろ。」
……。
なんだろう…。
佐伯先生がすごく辛そうに見えてしまう。
「…わかりました。」
送ってくれると言われて本当はめちゃくちゃ嬉しいはずなのに、そんな顔されたら素直に喜べないよ。
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